 |
|
|
|
|
インド憧憬──魂が目を覚ます場所(2025.11.16)




|
 |
バラナシでは、火と煙と祈りが一つになっていた。
生きることと死ぬことの境界がなく、
ガンジスの流れの中に“永遠”が溶け込んでいる。
人は燃えて、煙となって風に乗り、灰となってガンジスに溶けていく。
それは終わりではなく、“自然への帰還”。
土、水、風、火──この四大の循環に戻る瞬間である。
ブッダガヤでは、物語に耳を澄ませた。
スジャータがゴータマに乳がゆを届けたくだりで、涙が出た。
その場所に、人生で一度でも立つことができたことを感謝した。
「悟り」は難解な理論ではなく、“ある特別な体感”なのかもしれない。
そしてラジャスターン。
砂漠の黄金色と、マハラジャの装飾と、ラクダの歩くリズム。
人間の祝祭と祈りの音楽。
どこまでも続く地平線を見つめながら思った。
この国の人々は、“欠乏”の中で豊かさを知っている。
インドに行く前、みんなが言った。「遅くとも3日以内にお腹壊すよ」。
でも私は、壊れなかった。
むしろ何かが静かに“ほどけて”帰ってきた。
(正確にいうと、体重が増えて帰ってきた🤣)
それ以来、私の中の何かが静かに変わり続けている。
──インドは“試練の国”ではなく、“気づきの国”だった。
そして気づいたのだ。
旅とは“外”に出ることではなく、“内なる宇宙”に還ることなのだ、と。
だから私はまた、旅に出る。
|
|
|
|