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☆ローマ近郊紀行・その2『ボマルツォの怪物公園』Parco dei Mostri(2013.05.01)
『眉を上げ、唇を引き締めてこの地を行かなければ、世界の七不思議の最たるものを堪能できないだろう』──オルシーニ公。
怪物公園のシンボルである“人食い鬼”オルコ。上唇には『いかなる思考も飛び立つ』と刻印されている。
☆
16世紀の中頃に、ローマの正統派貴族、オルシーニ家のヴィチーノ・オルシーニが自宅に作った庭園が、ローマの近郊にひっそりと存在している。
“怪物公園”とも“聖なる森”とも呼ばれている。
ティボリの“エステ荘”で有名な、ルネッサンスを代表する建築家ピッロ・リゴーリオの作品。
この異形のものたちは、ほどなくして人々の記憶から忘れ去られ、400年もの眠りにつく。“怪物たち”が目覚めるのは戦後になってから。
ダリはここがお気に入りだったとか。
訪れたのが春爛漫だったこともあり、公園全体がのどかで明るかった。“聖なる森”は“生なる森”でもある。
木々の葉擦れの音、小川のせせらぎ、木漏れ日、緑の香り、生命の匂い、子供たちの歓声、それに朽ち往く石像と自然が一体化して、独自の生態系からなる小宇宙を形作る。
初頭で紹介した“人喰い鬼”の口腔内は瞑想空間。
同化するキョロとナメコ。
“傾く家”に酔いしれて……。
“巨人の決闘”。
かの澁澤龍彦はこの引き裂かれる巨人を女性にみたて、“エロスを感じた”というが……。
私はむしろ、この苔むした爺(実は神かも)の像に力を感じる。
あるいは、こういう廃れた憩いの空間……。
3つの頭を持つ地獄の番犬“ケルベロス”に守られた、亡き妻のために建てられたという礼拝堂。
礼拝堂の横にある、小宇宙の果ての門。
この空間は間違いなくパワースポット。
“鯨”。
スティーヴン・キングの“ランゴリアーズ”風。
“プロテウス(海の神ネプチューンの子供)”。
この公園の怪物たちは、怖いというよりどことなくユーモラスで、人好きがして、愛嬌があると思う。
そして海物たちでもある
こちら、怪物公園の新入り外来種“マタンゴの子供”。
(^▽^ケケケ
怪物公園を見おろす丘の上にあるボマルツォの町。
偶然画像に写りこんだ怪物の“ハート”。このラブリーなハレーション写真で締めくくり。
この公園はオルシーニ公が、最愛の妻を亡くした悲しみから逃れるために造った記憶の森。
やはりここには、愛がある。
http://www.parcodeimostri.com/
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