廃墟、廃村、廃屋、おまけに絶壁好きの私にはたまらない、
うってつけの場所を見つけた。
MUNAの村に到着するまで、片側絶壁の山道をいく。
この村には、今でも3世帯ほど住んでいるという。
大抵は夏の間だけの滞在であろうと推測されるが、
くわしいことは誰にもわからない。
なんとなく人が生活している気配のする家。
背景の奇怪な岩山も、石の家屋とよくマッチして見える。
ここにある色は、緑、グレー、ところどころの鮮やかな花々の赤、
それに眩いほどの碧(あお)。
私はコルシカ島自体が香っているように感じているのだが、
この村も大変濃い緑の香りがする。
時が止まった村の、命の匂い。
この小さな村にも教会がある。教会の前には戦死者の碑があった。
あまりに不便なことと、戦死者が多く出て、
村は存続することができなくなり廃村になったという。
教会の内側はこんなに綺麗。小さいけれども懺悔室もあった。
信仰は深いのだ。
ゆるやかに風、雨、植物などに浸蝕されながら、
朽ちていくのも悪くない。
以前にはどんな生活があったのだろう。
失われた時間が想像力を豊かにする。
蛇だ! じゃ、またね。