ナポレオン生誕の地として有名なアジャクシオから内陸に北上し、
山間のつづらおりの道を2時間ほどいくと、Vicoの村があります。
Vicoの村からはワニの乱杭歯のような、むき出しの岩山がよく見えます。
その山の名はコルシカ語で『Sposata(スポザタ) 』。
“いいなずけ”という意味なのだそう。
Vicoの村人3人に、村に伝わるというSpozataの“有名な”伝説を
得意げに教えてもらったのですが、
有名であるというわりには3人とも違うストーリーで……( ̄◇ ̄;)
でも、そんなところが好きです。コルシカ人。
今回はこのSposataの悲しい言い伝えについてご紹介しましょう。
伝説その1
山あいに一人娘が母と暮らしていた。
ある時、娘は牛追いの青年と恋に落ちる。
母に内緒で勝手に嫁いでしまうことを決めた娘。
嫁入りのため、家にあった家財道具を一切合切もっていってしまう。
母は寒さで死んでしまい、それが娘に祟って娘は岩になったそうな。
伝説その2
村に貧しい娘がいた。
同じ村の青年と恋におちるものの、
あまりの貧しささに結婚式で着るドレスもない。
そのまま山にいって嘆いていたら、
娘は岩になってしまったそうな。
伝説その3
村の裕福な娘が山羊守りの少年と恋におちた。
娘が少年と結婚したいと親に告げると、案の定大反対された。
あまりに悲しくて山で泣いていたら、
娘はそのまま岩になってしまったそうな。
共通点は、岩山の正体が“結婚が原因で岩になってしまった娘”であること。
この山は冬になって雪が降ると、
山の半分が美しいウェディングヴェールを被っているように見えるのだそうです。
娘の叶わぬ想いがそうさせる、と村人達はいっています。
Sposataの麓には世にも美しい廃村Muna(ムナ)があります。
そちらはまた次の機会にご紹介しますね。