Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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南イタリア紀行 vol4(2009.3.3)


空中庭園のような村ラベッロから地中海を臨む
イタリアとフランスのハーフのママと一緒にツアーに参加したアンジェラ、8才のおしゃまな女の子。
「私ね、パパのベトナムの血が入っているの。ねえ。私、なんとなくmanaに似ているでしょ?」
そういえばママは碧眼金髪なのに彼女は漆黒の瞳に黒髪です。妙になつかれてしまい、いつも近くにまとわりついてきてました。自分の息子たちにはない、女の子特有の甘い匂い、やわらかな肌の感触......かわいい子だし、悪い気はしません。
「ねえ。日本の面白い小咄、教えて。私の知っている話、たくさん教えてあげるから」 フランス語だし、おちが今一つなんだかよくわかりませんが、いくらでもポンポンでてきます。頭が良さそう。おまけに程なくして簡単な日本語の言い回しまで覚えてしまいました。
ママに「賢い娘さんですね」と伝えるとにこやかにこう返ってきました。「私もそう思うの。自慢の娘なのよ」この手の会話ではフランス人は決して謙遜したりしません。



  あるランチ時、この親子と同じテーブルになる事がありました。アンジェラはしばらく大人しくしていたのですが、食事も終わりになってママがタバコを吸いにテーブルから離れると、それこそ待ってましたとばかり、堰を切ったようにコトバが溢れ出します。
「はぁーー。ママったら、私が余計な事何かいいやしないかと、いつも心配なのよ」「私、タバコ大ッ嫌い。なぜあんなもの、ママ吸うのかしら。身体にも悪いのよ」 「兄弟はいるの? アンジェラ」
「ううん。一人っ子。ママね。結婚していないの。私、ラッキーなの。結婚してないからママ、離婚もないもの。パパとは滅多に会えないけれどね」 いつもママと休暇に旅をしているという。
「今まで世界中のいろんなところに行ったのよ。この歳にしては上出来と思うわ」
「来年は中国にいくのよ。パパの国に近いわね。manaの国にも近いのよね。楽しみ!」



左はアマルフィ名物。おばけレモンに見えるのは、サボンの仲間?
  なにしろ始終ぺったりくっついてきて、フランス語でオチのわからぬ小咄をまくしたてられます。基本的にマイペースが好きな私です。さすがに疲れてきたので、ツアー後半ではさりげなく離れていることも多くなってました。
と、最終日、気がつくとどこを見回してもあの親子がいません。「予定が変わって1日早く出発したみたい」他の人から聞いて力が抜けました。

ああ、ちゃんと「さよなら」も言えなかった。
後半もうちょっと構ってあげてもよかったと思っても、時すでに遅く...... 手の中にある、渡し損ねた折り紙をしばらく眺めてました。

アンジェラ、元気でね。いまだに抱きつかれて耳もとで囁かれた言葉を思い出します。
「パパと同じ、アジアの血が入っていていい匂いのするmana、大好きよ!」