☆ 音と光のモンサンミッシェル ☆(2007.12.25)
おそらく世界的に最も知られている巡礼の地である、モンサンミッシェル
どこまでも延々と続く真っ平らな流砂の中に、脈絡なしに超然と威厳を誇る岩窟聖堂。まったくもって不自然なのだけど、その不条理感が心を掻き立てる。人工的であるにせよ、無理矢理そこに存在しているものというのは、大いなる意義があるに違いない。
孤高(島)のオーラがその全体からゆらゆら湧き立っている。その背景には、晴れやかな神々しい空ではなく、むしろ灰色のグラデーションに彩られた陰鬱な雲が似合う。
神の加護を求めて遠路はるばるやってきた敬虔な巡礼者を、妖しく美しい魔力で導く。無情な海がひたひたと押し寄せ……静かに飲み込む。多くの命を糧により魅力的に輝く宗教建築物はたくさんあるが、ここもそのひとつである。
つくづく人間の業というものに想いを馳せる。
まるで旅籠や門前町のような日中の喧噪が耐えられず、一泊することにした。人気のあるのは仕方ないにしても、天啓を享受するには気が散ってしょうがない。
7〜8月の夏のバカンス期間は、23時半まで修道院が開館している。夜間は音と光のアート空間になるのだ。
とはいえ22時くらいまで外は明るいので、この前後に狙って入ると、修道院は昼間とはまた違った貌を次第に露わにしていく。おすすめである。
祈りの場は、夏の夜、絶妙の音響空間となる。
ここは独房の入り口?
動のモダンアートに静のクラシカルアート。
僧の散歩場。
僧の食堂
流砂の奇跡。砦の外は大草原&大海原が広がるばかり。
静寂──でも私には身体を貫く稲妻の存在が感じられる。
ゴシックとロマネスクの混在する礼拝堂の昼と夜。
メルヴェイユ(驚嘆・神秘・傑作)とよばれる空中庭園のある廻廊は、
かつて僧侶の空間であった。
司教オベールの脳天に穴をあけて
預言を伝えようとした、大天使ミカエル(サンミッシェル)。
しかしその影はまるで魔王のごとく──。
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