100年前のシワ防止対策(2007.03.14)
パリ万博時代への憧憬
今や絶滅の危機? くびれたウエスト
La Femme Chez Elle 1904.12.15
「manaさん、古い棚の整理していたらナント100年前の女性誌がでてきたのよーー。その中にねぇ、当時のドクターのシワの話しがあって、、、ぷぷぷ(^?^) とにかくご一読あそばせ。」
南仏在住のマリさんから送られてきた、いにしえの香りのするセピア色の冊子。
なにはともあれ、フランスの美容の昔を尋ねて、ご一緒に歴史のお散歩をしてみましょう。
ドクターのちょっとためになるお話
〜シワのお話〜
お顔にシワが見え出すのは、老化のはじまりを告げる晩鐘のように響いてきます。けれども、老化以外の様々な原因で、病的状態(とりわけ腹部と下腹部)や、精神的苦痛(苛立ちや日常の不安)から、または社交界通いへの熱中や、急激に行うダイエットなどが、まだ哀れな四十路にも満たない方々にも、早熟なシワが《加齢の傷跡》の如く、出現してきます。それに近年は、行き過ぎた流行となっている《スポーツ》と言われるものや、特に《自動車》なるものに乗りますと、痛みやすいお顔の肌が、スピードによる激しい風に曝され、強い日射しに照らされるために、若者の顔にも早すぎるシワが刻まれていきます。また、何でもかまわず塗りたくるクリームやパウダーの軽率な使用が、皮膚の荒れをますます酷くして、結局はツヤのないしおれた肌にしてしまいます。そして残念なことに、その後に人生にもしわ寄せが……。
ですから、シワができないようにするには、周知の通り、平静を保つように心がける、と申しますより、顔の筋肉を動かすことを最低限の表情にとどめることです。愛想の良すぎるのも、気難しいのも、または意地悪でも、逆にいつも良心的でも、つまり泣くことも笑うことも同じく、それらの表情をくり返すことが、結局、顔の表皮の動きを増やして、終いには惨憺たる深いシワを刻んで行くことになります。とりわけ、余りにも明るい陽気さは、目のまわりの老化を早めて、目尻のシワをつくっている原因と見られています。ですから、特にお芝居で見られるような大袈裟な感情表現はしないで、(どれ程の役者や女優が、顔面の筋肉を常に動かし、ひと時も休めないので、まるで萎びたリンゴのように、早い時期からシワができているのもお気づきでしょうから)、表情は静かに落ち着いた穏やかなものにしましょう。
それから、唇のチック(痙攣)もしない方が良いでしょう。仏頂面で口をとがらせたり、愛嬌を振りまいて口先を吸うようにしたり、気取りか口惜しさで唇をすぼめたり、薄笑いで口をゆがめたりなど、このような動きほど、シワの発生を早めるものはありません。また、唇を噛んだり、爪を噛んだりするのも同じく、今日我々の時代に顕著に見られる神経の不安定が原因となっている抑えがたいチックと言えましょう。ですから、自己暗示法や意志を強めるようなあらゆる方法を使って、このような無意識の動きをしないようにしなければなりません。この唇を噛む癖は、しばしばその原因が寒さによるひび割れから起こるものです。小さな表皮膜がまくれ上がって不快感を起こしますから、なるだけ急いでその唇の小さな粘液性の患部に、例えば、グリセリンを添加したカカオバターを15に、クエン酸を0.50と、シナモン・エキスを0.25の分量で配合したクリームを塗って、早めに手当することです。
シワができないようにする対策としては、いくつかのお顔の運動(頬をしっかりと膨らませる、唇と顎の筋肉を交互に収縮させる)などがとても役立ちます。しかしながら、もっと効果的な方法は、帯電状態によって筋肉に運動を起こさせることです。それには、静電気またはFranklinisation(ごく一部の専門医が使っているのみ)を使うことができれば良いのですが、誘導電流またはファラディー療法の感応電流でも十分でしょう。放電器は市販の小さなコイルが付いたもので、それに塩水を染み込ませたスポンジを使います。そして、毎日1〜2回、15〜20分ずつ行います。電流が皮膚を充血させ、これによって細胞を活性化して、栄養分の吸収もさかんにさせます。しかし、とりわけ電流が、だらりと弛緩、または麻痺しているために表皮をしっかりと支えられなくなった筋を引き締め、そして衰弱した筋を鍛えます。ですから、これはお肌に新たな生命力を与え、同時にその支えを強化してハリを持たせることになるのです。
時はアールヌーボー全盛期
現れはじめたシワには、先ず毎朝10分ずつ熱蒸気の噴霧を行って皮膚の汚れを取り除き、また局部的には、下記の成分を配合した溶液を小さじ1杯、コップ半分の水に加えて使います。
アロマ・ビネガー 90
ベンゾイン樹脂(安息香)のチンキ剤 60
グリセリン 15
レゾルシン 3
サリチル酸 2
くまつづら(馬鞭草)のエキス 1
それから、寝る前には患部を柔らかにするための、循環を促すマッサージをとても優しく行います。マッサージは軽く触れる程度で十分ですが、筋肉のすじ方向に沿って、しかも必ずシワに対して反対方向に向かってはじめます。この時、ラノリン(羊毛脂)とPagliari水を等分に配合した溶液を、指の腹につけて塗り込むようにすることをお勧めします。そして、マッサージの後は、澱粉とタルクを100に対し、ビスマス(蒼鉛)のオキシ塩化物を10の割合で配合したパウダーを軽くつければ、お肌を花のように美しく回復させることができます。
目尻のシワへの対策としては単に、盾形の膠のついた絆創膏を貼って眠り、翌朝お湯ではがす、という方法をお勧めします。このシンプルな方法が、患部の組織を活発にして、筋にハリを持たせ、若々しさを取り戻させてくれます。
お顔のマッサージに付いては、何度も申し上げてきましたが、指で行うのが最も良く、機械を使ったバイブレーションは、お肌の美しさを保つのに使うのは危険なことです。
また、体重減少の場合の対策としては、次のような配合でつくった《お粥》を、毎日3杯摂ることをお勧めします。その割合は、トウモロコシ、大麦、レンズ豆、そば、オート麦の粉を100グラム、脱脂加工していないカカオの粉を250グラム、砂糖を1キログラム、バニラパウダーを5グラムです。このお粥は牛乳または水で作りますが、水の場合は卵黄をひとつ加えるのも結構です。そして、3回の各食事の後には、下記のような割合で配合したマディラ島産ワインをグラス1杯召し上がるのが良いでしょう。
コーラ(あおぎり科)、コカ、キナ(キナノキの樹皮、キニーネの原料)を配合したワイン 800
オレンジ皮のシロップ 100
中性リン酸塩ソーダ 50
砒酸塩ソーダ 0.10
このようにして、皮下脂肪層の厚みを取り戻させれば、真皮もふくらみを持ち、お顔の肌に正常なハリを取り戻させることができます。
それから、たくさんの読者から、しもやけの薬を訊ねられました。ですので、潰瘍性でないしもやけの治療に効く製法は、次の通りです。樟脳を添加したワセリンを45に、ヨード・タンニン(iodo-tannique)溶液を10と、阿片チンキ剤を5の割合で配合した薬を、朝晩、患部に塗り、綿布で包んでおくようにすると良いでしょう。
マリさんへ。いつも貴重な情報ありがとう! 今回は格別。当時の自動車ですって!? 殆どオープンな エンジン付き馬車ってかんじなのかしら。スポーツというコトバもこの時代に生まれたみたいね。
現在のボトックス注射の原型ともいえる無表情理論も笑えたけれど、電流を使って筋肉の運動をおこさせる施術があの時代からあったとは驚いたわ。
コカや阿片のチンキ剤も当時は簡単に薬局で買えたのね(^^;) 精神分析で有名な精神分析で有名なフロイト(オーストリア)も若いときにコカインの中毒であったという説もあるから、そういうデカタンス趣向というか、ある種おおらかな(?)時代だったのでしょうねえ。
またおもしろい話題があったら、よろしくねっ。ほんとにどうもありがとう。 mana
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