ある日、気づいた。睫毛が、まるで春の芽吹きのように、グングンと伸びている?
睫毛エクステの常連として、自分睫毛の長さを忘れていたが、間違いない。頻繁・煩雑なる点眼のおかげだろうか、それとも20億個の幹細胞治療の賜(たまもの)か? ラクダのようなつぶらな瞳で、月の光の砂漠を歩いているかのようである。
いま一つの驚くべき変化も現れた。顔の皺(しわ)とシミが、朝露が霽(は)れて清々しい碧空になったかのように消えていく。肌色も明るくなった―??ハレーションを起こしたように。
これは一体どうしたことか。ハイブリッド視界となれば、全身の感覚がリバースエイジングすることになるのか。
眉間の皺が薄くなったのは理解できる。老眼によって間断なく目を細める癖が身についたからだ。眉間の皺だけではなく、顔全面の小皺も薄くなって、シミだって目立たなくなっている。こんなことは計算外の誤算だった。そして、アラ不思議にも、まわりの人たちも若返ってきたのである!
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