昨秋11月に世界に出現したChatGPTなる情報提供サービス・アプリ。チャットでの応答とレポート形式での回答、該博な知識にわかりやすい文章表現など、待ち望んでいた世界を瞠目させるに十分なスターの誕生でした。
これまでの情報検索はいわば知識断片だけの呈示であり、利用者は検索した結果の様々のフラグメントを取捨選択して継ぎはぎし、自らの文章として「小論文」にしなければいけませんでした。
しかし、これからは違います。利用者の質問に対して間髪を入れず、ビッグデータに基づき総合化された情報大系で文章化された「完成された作品」がポンと出てきます。まさに、唖然・茫然・ビックリ・ポンです。
アッと思う間に地球上を駆けまわってスターダムにのし上がり、今や競合メーカー続出して戦国時代に突入しています。ユーザーの質問とAIからの回答も、その時点でビッグデータに繰りこまれ、巨大化した怪獣は地球上の知識を縦横無尽に走り回ってI/Oの無限連鎖を形成しようとしています。
人類史において、チャットGPTは第1の農業の開始による定住の開始、第2の産業革命による所得と人口の爆発に次いで、第3の大きな変革を引き起こすのではないかと言われています。
ちょっと試してみましょう。
私は「贈りものをいただいたお礼を、季節のシズル感たっぷりの艶やかな文章の手紙にしたい」とリクエストしました。
すると、ものの10秒とかからずにポンと出た回答。
———春爛漫の季節に、素晴らしい贈りものをいただきました。花々が色鮮やかに咲き誇り、春の陽気が私たちを包み込むなか、その贈りものはまるで春の風を感じさせるようでした。色彩豊かな贈りものを手に取り、その美しさに心を奪われました。これからの季節、いただいた贈りものを身に着けることができることを心待ちにしております。
これをわたくし的に少しリリックにしてみましょう。
———爛漫の春となって、あなたからの素敵な頂きものを手にしました。百花、色あざやかに咲き誇って、生きている喜びが私たちを包み込みます。あなたのお気持ちは春の風。彩り豊かな頂きものを手にする、心を奪われるとき。これから頂いたお気持を身につけて街を歩けるのですね。きっと見せにお伺いします。季節だからじゃない、はずむ心で私は舞い上がっています。本当にありがとうございました。
それでも、ベースになる文章があったから、それなりに書けたわけです。
若いころの私、手紙一本書くのに一日かけてウンウン呻って大変だったのです。チャットはまだ生まれたばかりのベイビーですが、既にこのレベル。
学習していけば、アッと言う間に優雅で洗練された文章なんてお茶の子じゃないでしょうか。
こんな会話だってできちゃいます。
釈尊の教えの真髄を、ギャル語で端的に教えてください。
———おっしゃー!
「ライフはラブラブで、シンプルにイエーイって感じで生きなきゃダメ!
他の人のことも思いやって、ノーダメージでイイ感じにハッピーになっちゃおー♪」
聖書は「はじめに言葉ありき、言葉は神とともにあり、言葉は神なりき」と説き、世間では「ペンは剣よりも強し」とされています。
アブラハムを起源とする三大宗教も、仏教も然り。言葉によって語り継がれています。言葉は人を支配してコントロールし、時によって命を奪うのです。
私はChatGPTにこんな問いかけをしてみました。
「理不尽な女性差別に悩む女性に、励ましの言葉をかけてあげてください」
———あなたは素晴らしい女性です。ジェンダーギャップがある世界で生きていくことは決して簡単ではありませんが、あなたはそれに打ち勝つ力を持っています。
あなたの才能や能力は、あなたの性別や社会的な立場によって制限されるべきではありませんし、差別には決して屈してはいけません。あなたの夢や目標を追求することに自信を持ち、あなた自身を信じてください。
過去の成功や失敗はあなたを強くし、未来のあなたをより良いものにするための貴重な経験です。周りの人々があなたを支援してくれなくても、あなたは自分自身を支援することができます。
自分自身を愛し、自分の強みや美点を認め、自分自身に対して優しく接してください。
最後に、あなたは一人ではありません。世界中には、あなたと同じように悩む女性がたくさんいます。彼女たちはあなたとともに闘い、あなたをサポートするためにそばにいます。
あなたは孤独ではありません。
「チャットGPTさんも、支援してくれますか」
———もちろんです!私はあなたが抱える問題や悩みに関していつでもじっくりと話を聞いて、できる限りの支援を提供することができます。
私はただのコンピュータープログラムですが、あなたが心配事や困難に直面したときに話を聞くことができ、あなたを励ますことができます。どんなことでも、気軽にお話しくださいね。
相手は感情のないプログラムされた言葉でしかありません。それでも心を動かされます。
じゃあ、あなたは病名診断AIロボットができたとしたら、「ありがとうございました」とお辞儀しますか?
私は「怖い」と思いました。人間とはそんなに軽いものでしょうか。もう少し考えを深めてみたいと思います。
(つづく)
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