Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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エッセイ バックナンバー

「モテる」の意味(2008.10.21)


あのね......ぼくたちも大人になったらケッコンしよう。約束だよ。
日本では「モテ」がトレンドを通り越し定番になってきた気がします。数年前あたりの女性誌はすごかったです。季節のファッション特集になるや、「モテ系の顔」「モテ髪」「モテメイク」etc.とモテモテ迫ってきました。目を転じてみると、「モテる技術」「モテる話術」「モテる成功法則」「モテる男マニュアル」etc.といった数々の書籍。現在はそこまでキャッチぃではないにしても「モテ」は、男女を問わず世の中の最大関心事であるのには変わりありません。
モテるってどういうことでしょう? 漢字はこれでも「持てる」です。いろんなものを持つことができるから「人気がある」のか、みんなの評判がいいのでしょうか。実際の意味はもうすこし恋愛ぽく、「みんなから愛される」というのが近いでしょうね。

  モテるために必死になって努力するというのは、昔から男性の専売特許だったように思います。かつての男性誌なんかのぞいてみたら、女にモテるための様々なテクニックが涙ぐましいほど載ってました。(んふふ。*注1)敵を知るには、これが一番。・・・ん?敵って???)当時は「こんなことで好きになるわけないじゃん」と思ったり、黒の舟唄ではありませんが「男と女の間にある深淵」を感じたりしたんです。まさか、女性がモテるために汗を流す時代が来るとは!


一人ぼっちはさみしい......

でも、いいことですよね。難しく考えなくとも、人間はひとりでは生きていけない生物なんですから、他の人々へいつも存在証明を発信してなくてはいけません。コミュニケーションを求めつづける手を差し伸ばしているんです。モテたいというのはセックス以前の生存のための本能そのものなんだと思います。
「モテる」と「いいヒト」は違うのでしょうか? モテる対象は第一に異性からなんでしょうが、やはり同性にもモテたいと思いますよね。これって「いいヒト」とどう違うのでしょう。モテにはジェラシーが介入する事かしら?
さて、コミュニケーションが食の確保や身体の保護という、生存のための情報通信そのものだとしたら、モテを追求するのは経済行動そのものです。つまり、男性にとってはオスの本能というよりは「一家の主人」としてモテが必要だったのですし、きょうびの女性にとっても「経済の主体」となってきたからモテなくちゃいけないのだと思うのです。
「モテる」ことは異性を「落とす」こととは違うものです。ベクトルがまったく逆ですから。でも、モテて自分にいい寄ってきた中からさりげなく落とす──そこが解る女性というのがripe beauty(女盛り)てものですわ! ねっ、マダム。

*注1)「恐妻家はまだいい、かなわぬまでも戦っているのだ。だが愛妻家は許せない、なにしろ敵と戦う前に降伏しているのだから」